- Question
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どうすれば、変化の時代に皆がポジティブな思考に向かえるようなテーマを提唱し、読者に体感してもらう雑誌を作ることができるだろうか。
- Outcome
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「制約」という一見ネガティブな事柄をポジティブ転換。ビジョナリーな企業のあり方を、時世とリンクして伝える一冊の雑誌にまとめた。
オフィス家具メーカー、オカムラが手掛けるワークスタイルリサーチメディア「WORK MILL」。そのペーパーマガジン版である「WORK MILL with Forbes JAPAN」は、2017年9月に創刊した、働き方の未来を考えるマガジンです。
創刊以来、九法と水口が前職のForbes JAPAN時代からエディトリアルディレクションに携わり、これまでにコワーキングと協業、「幸せ」先進国デンマークの働き方、ポスト・イノベーション時代のビジネス、愛される会社の条件、コロナ時代の新しいスタンダードなど、様々なテーマで世界の最新事例を紹介してきました。
書店で流通させるような雑誌を作るには、コストも手間も、時間もかかります。コロナ禍でペーパーメディアや取材を取り巻く環境が激変する中、一冊の本として発信する意味は何か。フィジカルメディアの役割や特性と向き合いながら、新しい表現に挑戦します。
水口がエディトリアルディレクターを務めた2021年4月発売のISSUE06のタイトルは、「制約のチカラ」。企業も個人も意志を持ち、取捨選択をすることを求められる時代。何かを選びとる、ということは、自ら制約を課すことでもあり、これからのビジネスにおける意志の表れになりうるのではないかという視点で、テーマを定めました。
「制約」は、制作チームが直面しているテーマでもありました。国外の取材を軸に、撮りおろしの写真やインタビューで構成する生の情報を売りにしていたWORK MILLにとって、新型コロナウィルスの流行による渡航や移動の制限は、制約そのもの。新しい取材や表現の方法を模索します。
オンライン取材が中心でも充実した内容になるよう、ビジュアル中心から読み物中心の雑誌にシフト。判型やデザインも一新し、読み応え重視の本にリデザインしました。色数を絞った印刷表現も、あえて制約を設けることでオリジナリティを出すというコンセプトの元で決まった方針です。
本編には、世界各国からの事例だけでなく、世界的な経済学者であるジャック・アタリやデザイナーのトーマス・ヘザウィックらへのスペシャルインタビューも収録。また、制約と自由のあいだで変化しつづけるオフィス空間と働き方の歴史の紹介など、制約がビジネスにもたらしうるポジティブな力について様々な角度から考えています。
- Direction : オカムラ
- Editorial Direction : KESIKI
- Editing : Linkties
学び
オンラインでの取材にはさまざまな制約がありますが、取材方法を割り切ったからこそ実現できたインタビューも多数。新たな雑誌づくりのあり方を提示できた一冊になりました。