EVERYFOOD(旧:日本ゼネラルフード)

「一人ひとり」が輝く企業へ

創業60年に向けた企業リブランディングと組織変革

2026年2月に創業60年を迎える委託給食企業、日本ゼネラルフード。同社は、社名やロゴを超えて、経営やカルチャーのあり方そのものを見直す大きな挑戦に踏み出しました。広く多くの人に向けた「General」から、一人ひとりの個性や創造性を発揮する「Every」へ。KESIKIは、リブランディングを起点に企業文化を変革するプロジェクトに伴走しました。
Question
どうすれば、企業としての社会的な信頼と期待を得ながら、社員一人ひとりの個性や創造性が発揮される組織文化を育むようなコーポレートブランドを描くことができるだろうか?
組織が変化していくリブランディングを

名古屋に本社を置き、東海地方を中心に全国で給食・食堂運営を行う日本ゼネラルフード(NGF)は、創業から60年近い歴史を積み重ねてきました。2021年に新社長が就任し、同社にとって“第二創業期”の始まりでもありました。

トップダウン型の経営スタイルから、社員一人ひとりの創造力を活かすボトムアップの文化へと変えていきたい。深刻化する人材不足の中、若手採用の競争力を高めていきたい。こうした経営課題を背景に、ブランドを根本から見直すリブランディングが求められていました。

単なるロゴやWebサイトの刷新ではなく、組織文化や人事制度、さらには中長期の経営戦略にも波及するような変革。KESIKIへの依頼は、そうした強い想いから始まりました。

らしさと未来を言語化する

KESIKIが一番に大切にしていることは、その企業の現場メンバーによる「主体的な探究」です。KESIKIや経営層だけで何かを決めても、企業全体のカルチャーは変わっていかないからです。

プロジェクトは、多様なメンバーが参加する横断的なチームづくりからスタートしました。役員から若手社員まで年齢も幅広く、人事から栄養士まで部署もさまざまな15名ほどのメンバーを「パッションがありそう」という基準で選抜。普段あまり一緒に仕事することのないチームに最初は戸惑いもありましたが、話していると「そんな視点もあったんだ」とお互いに良い気づきが生まれていきました。

プロジェクトチームとKESIKIで、何度もワークショップを重ね「これまでのNGFらしさ」や「描きたい未来」を議論していきました。リサーチ・インスピレーションとして、海外の先進的な食関連の取り組み事例や、企業リブランディングの成功例なども共有。「10年後のNGFが雑誌に特集されるとしたら?」という”マガジンワーク”では、言葉にされていなかった未来像が少しずつ形を帯びていきました。また、「給食の未来はこれからどうなる?」「私たちにとっての“おいしさ”ってなんだろう?」といったテーマで、キーワードを出すワークでは、自分たちの価値観や挑戦したい方向性を深堀っていきました。

「あたたかさ」や「安全・安心」といったNGFらしさを根幹に持ちながら、これからさらに「主体性」「創意工夫」を持って、一人ひとりが小さくても自分で考えて挑戦する会社へと進化していきたい。そんな思いが浮かび上がってきました。

“General” から “Every” へ

KESIKIが得意とするのは、議論を抽象的な言葉にとどめず「作りながら考える」アプローチです。その場でプロトタイプ化し、実際に目で見ながら検討することで議論は加速しました。

新しい社名は、議論で出てきたキーワードからアイデアを発散させ、プロジェクトチームで1000以上の案を出し、その中からブラッシュアップを重ねていきました。数案に絞って、ロゴやステートメントをプロトタイピングして張り出し、印象や直感も大切にしながら精査を進めました。

そうして最終的に選ばれた社名は、 「EVERYFOOD(エブリフード)」でした。

創業当初からの「広くあまねく多くの人においしさを届けたい」という“ゼネラル”に込められた想いはそのままに、「一人ひとりの個性をいかしたみんなのための会社」という“エブリ”という新たな価値観が重なる。「General」から、「Every」へ。一人ひとりの個性と工夫が集まる集合体としての未来を象徴する社名となりました。

 

社名を起点に、ロゴ、マスコットキャラクター、Webサイト、看板やトラック、ユニフォームまで、社内外に展開されるさまざまなツールをKESIKIが一貫してデザイン。新たなブランド像が一気に立ち上がっていきました。

企業文化を言語で表現するための「使命」「提供価値」「行動指針」も、プロジェクトチームと共に議論を重ねながら言語化していきました。

主体的に意見を出し合うカルチャーの芽生え

2025年9月1日に社名変更発表とWebサイトなどが公開されました。社名やマスコットへのポジティブな反応が社内外から寄せられ、ブランドが愛着を持って受け入れられています。

ただ、一番の嬉しい変化は、プロジェクトメンバーを中心に社員たちのマインドが積極的になってきたことです。プロジェクトを通じて、社員が主体的に意見を出し合う文化が芽生え、若手からも経営やリーダーシップに関する意見やアイデアが上がるようになりました。

60年の歴史を受け継ぎながら、一人ひとりの社員が活躍し、一人ひとりに向き合って、おいしさを届ける会社へ。リブランディングを出発点に、NGFは「EVERYFOOD」として未来への旗を掲げました。 

KESIKIとのリブランディングプロジェクトは、この先も続きます。今回土台としてかためたコーポレートアイデンティティを軸としながら、組織カルチャー変革を促す人事評価制度など、新たな挑戦を見据えています。

https://everygroup.co.jp/ef/rebrand/ https://everygroup.co.jp/ef/

学び

今回のプロジェクトを通じて、KESIKIが改めて実感したのは、リブランディングを単なる表層的な刷新ではなく、経営やカルチャーの変革につなげることの重要性でした。

リーダー層から若手までを巻き込んだチームづくりが、社員一人ひとりの主体性を引き出す起点となり、その声を「作りながら考える」プロセスにのせることで、議論は加速しました。また一方で、経営層との長期的な視野を見据えた対話も続けていくことで、意思決定もスムーズに進んでいきました。

そして、社名やロゴ、MVVといった目に見えるアウトプットが、社内カルチャーや人事制度の変化へと波及していく。その連鎖こそが、真のリブランディングであると私たちは考えています。

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