Yutaka Nakamura

中村 寛

Insight Design

文化人類学者。デザイン人類学者。物書き。アトリエ・アンソロポロジー合同会社(Atelier Anthropology LLC.)代表。多摩美術大学リベラルアーツセンター/大学院教授。

PASSION & INTEREST

デザイン人類学/人類学デザイン

人類学に基づくデザインが、あらゆるデザインの基本形になるとよいなと思います。すべてのデザイナーのかたわらに人類学者を! 逆もまたしかり。すべての人類学者のかたわらにデザイナーを! そう願っています。

コ・リデザイン(co-redesign)

《つくる》という営みは、ポジティヴことばかりではなく、暴力的な結果をもたらすこともあります。だからこそ、批判的な思考や思想が、なにごとかをうみだす現場には必要なのだろうと思います。ですが、批判や内省だけでも社会問題は解決できません。創造だけでも批判だけでもなく、両者を切り結ぶこと――これをひとりでやるのは難しいけれど、チームでならばできる! すでにつくられてしまった制度や仕組み、枠組み、基準、価値、社会関係、環境などを、ともに吟味しデザインしなおすことができるなら、それは本当にクリエイティヴな営みになるはず! 

「ゆっくりと、やわらかく、ふかく」

この標語は、社会学者の新原道信さんからいただいたものです。新しいことに挑むとき、行き詰まったり困難に直面したりしたとき、心身ともに余裕がなくなったときなどに、よく思い出します。もっとゆっくりと、やわからく、ふかく、人や生きものや事柄に、触れたいと。新原さんは「本業は人間ですよ」ともおっしゃっていて、これまた、「そうだよなー、なかなかできんなー」といつも思います。とほほ、です。。。

BACKGROUND

幼少期から少年時代を宇都宮、墨田区、ペンシルヴァニア州ピッツバーグ、小松市、横浜など、高校時代をイリノイ州シカゴ郊外で過ごした。一橋大学大学院社会学研究科地球社会研究専攻修了。博士(社会学)。博士論文は、Community in Crisis: Language and Action among African-American Muslims in Harlem。ニューヨーク市ハーレムでの長期フィールドワークを経て、「周縁」における暴力、社会的痛苦、反暴力の文化表現、脱暴力のソーシャル・デザインなどのテーマに取り組む。その一方、人類学に基づくデザインファーム《アトリエ・アンソロポロジー》を立ちあげ、さまざまな企業、デザイナー、経営者と社会実装をおこなう。2020年からグッドデザイン賞外部クリティーク。多摩美術大学では、2023年からサーキュラー・オフィスの立ち上げ。著書に『アメリカの〈周縁〉をあるく――旅する人類学』(平凡社、2021)、『残響のハーレム――ストリートに生きるムスリムたちの声』(共和国、2015)。編著に『芸術の授業――Behind Creativity』(弘文堂、2016年)。訳書に『アップタウン・キッズ――ニューヨーク・ハーレムの公営団地とストリート文化』(テリー・ウィリアムズ&ウィリアム・コーンブルム著、大月書店、2010)。